すぺしゃるイベント-高神喜一郎

「お見合いというのを一つ、やってみようかと思いまして。」
「…え。相手、ですか。ええと、その…、……ロさまに、会いたいなぁと」
 
 
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○プロフィール
名前:高神喜一郎
国民番号:2400458
所在地:紅葉国
職業:医者
性別:男
 
22歳、独身、加えて金髪でネコミミと言えば聞こえはいいが、生物学上でも戸籍上でも男性。
心は乙女、らしい。
趣味は治療、特技は女装。
普段は恥ずかしい台詞も平気で言うが、好きな相手が絡むと一気にへたれる。
美少女と男前、それと漢に弱い。
最近感情が高ぶるとぶっ倒れるくせがついた。

 
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○ピーアールポイント
・これまでのあらすじ
【イベント90】
立ちまくった死にフラグをバロにへし折られて恋に落ちる。
ついでにマジックアイテムを貰う。
敵と聞かされて泣く。
【イベント90、裏番組】
「突然現れた変なオッサン」に期待するも、別人。
ぐるぐるして終わる。
【イベント94】
ノワールの戦いの指揮を任じられる。
バロが本当に敵で泣く。
美少年に生まれ変わるー!と騒ぐ。
悔し紛れにバロの出るゲームを作ろうとするも、国民に恋愛シュミレーションゲーム認定されぶっ倒れる。
【イベント94直前】
中の人出撃不可。
バロ宴会中。
治療して終わる。
【イベント90後ほねっこ編】
「コロッケ屋の親父」に期待するも、またしても別人。
【イベントEX】
世界移動による黒戦の参加不可を恐れて不参加。
【イベントEX応援】
相手は黒オーマでした。
泣く。
応援して終わる。
【すぺしゃるイベント】
跳び起きてお見合いさせろと騒ぐ。
と思ったら同藩国の数名に既に行動を読まれていた。


・スペック
着用アイドレス:高位南国人+医師+名医+治癒師+吏族(職業4)
体格:-1:筋力:-1:耐久力:-1:外見:3:敏捷:0:器用:15:感覚:0:知識:10:幸運:-2
の超絶治療型。特殊を使えば最大ブースト治療22で旦那に怪我はさせません。


・お見合い写真
お見合い写真

(撮影者:春賀) 
 
 
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紅葉国の摂政のひとり、高神喜一郎は、乙女である。
名前からしていかにも男性なのだが、属性があまりに乙女なのだ。
そもそも、自分を救ってくれた人に一目惚れするってあたり
何年前の少女漫画ですか(ちょっと両者とも男性だが)のノリである。

しかし、お約束だからってあきらめたりしない。
いや、お約束ならこのまま再会>ハッピーエンド一直線…ぷしゅう(摂政が壊れた音)

バロ様にもらった黄金の角笛を片手に
今日も告白…もといお見合いの台詞を練習する。
どうでもいいが、医者としての勤務時間中だ。
「あ、あの…助けていただいたときから…ぷしゅう」
高神、また壊れている。
ちょっと前なら薬一発キメるところなのだが
治癒師になった今では、そういう手を使うわけにはいかない。
「せんせ~、がんばってにゃ」
「このあいだのちりょーのおかげで、あたしもよくなったにゃ。
 こんどはせんせーのばんにゃ」
医学では届かない領域の難病もなぜか治せるようになった彼のもとには
お見合いの意味はわかってないが
なんとなく、せんせーががんばってるらしいことは通じている子供たちが
悪気なく応援にきてくれている。
「せんせー、おみあいではなにきてくのにゃ?」
「せんせーははくいがいちばんにあうとおもうにゃ」
よ、よし、ドレスやめよう。
俺の勝負服は、この白衣で決まりだ!

その頃、国民の一部により
総レースの白衣なんてどうだろう、という計画がたてられていたことは
高神は知る術もなかった。
「けっきょく普通の白衣でお見合いいくらしいにゃ」
「この衣装、どうしましょうか」
「んじゃ、摂政の結婚式にでも」
「バロ狙い直撃は少ないようだし」
「藩王さま…あきれてる…」
「本気でまとまったら、『よし黒オーマげっと!』と喜ぶかもにゃ」
摂政、がんばれ。
 
(かいたひと:む~む~)
 
 
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高神喜一郎は、戦争の嫌いな男である。

国庫の調整や戦力差の計算が面倒というのがその主な理由ではあったが、そもそも彼は戦うことが好きでは無かった。もっと言えば、誰かを治療したり助けたりすることが心底好きだった。
だからその月の青い夜、化け物と死体を前にした高神は、指揮官としては致命的なまでに間違った、医者としての判断を下した。
 「絶対、連れて帰ります!」
任せられていた冒険隊は戦力的にはあまりにもお粗末な部隊で、巨大な牛頭の化け物を倒して死体を奪回する作戦はその時点で9割失敗している。
それでも。震える足の学兵は、必死に走って死体を掴んだ。銃の効かない化け物を前にし
た歩兵は、「次の指示を」と笑った。
 「…医者捨てれば、逃げられるかな」
小さく呟いた高神、笑って出口から一歩遠のいた。指揮官兼「かよわい名医」の戦闘時配置は、一番後ろである。死体を抱えた学兵と擦れ違いながら、セリエの頭を撫でる。歩兵と擦れ違う時には、オイレの頭に手を伸ばそうとして、結局無言の圧力に負けて手を引いた。
敵から一番近い位置に立って、首をひねり振り返る。
 「指揮官命令。振り向くな、ずらかれ」
笑って、首を戻す。壊れた、もはや紙ほどの強度もない壁越しに、巨大な牛を見上げた。
  (ああ、こりゃでかい。)
間抜けなことを考えて、高神は目を閉じた。


瞼が完全に閉じる寸前。高神は、鮮血にまみれる人影と、巨大な化け物が二つに割れるのを見た。


/*/


それから、一月後。

 「…という、儚くも切ない恋の話がですね」
 「それは吊橋効果よ」
高神は、誰彼構わずに自分を救ってくれたバロという男について(やや脚色して)語っていた。
 「何で敵なんでしょう…」
溜息をつく高神。頬は赤く、目が潤んでいた。気合いの入った乙女ぶりである。
 「私は何で貴方が味方なのか知りたいわ」
眉一つ動かさずに、紅葉ルウシィは高神の戯言を切って捨てる。うなだれる高神。執務室は今日も平和であった。


平和を乱したのは、一人の吏族と一人の参謀である。
 「ああ摂政、お見合いするんでしょう?」
 「摂政が行かなくて誰が行くと言うのニャ?」
廊下から現れた二人組の言葉の意図がよくわからない高神は、とりあえず紅葉の顔色を見た。ピクリ、と紅葉の眉が動く。高神、猫のばねを使って全力で走り出した。
 「お見合い?見合いって誰と誰が?!」
詰め寄る高神。詰め寄られた神室想真は、慣れた様子でその手を剥がす。
 「黒オーマとニューワールドの人間が、です。…まぁ黒は男性ばかりだそうですが」
 「…摂政~、ニュース見てないニャ?」
神室の隣でむ~む~が目を細める。それさえも気にならないほど、高神はぐるぐるしていた。頭の中では既に、バロと顔の見えない女が白い服を着て並んで立っている。自分は招待客で、紙吹雪撒いて、幸せそうな顔したバロに笑いかけられていた。

高神、自分の妄想で、泣いた。

 「うわっ?!」
 「な、何で泣いてるのか知らニャいけど…お見合いは別に女性限定じゃないニャ」
 「…………え?」
目はキラキラ、尻尾ふりふりで顔を上げる高神。
 「え、え、じゃあ」
 「だから最初に行くんでしょうって言ったじゃないですか」
 「最初に会ったなんて、おいしいニャ~」
もう一度泣きそうになって、高神は振り向く。紅葉の顔色を伺って、尻尾を垂らした。紅葉は頭を抱えている。
 「……変態」
 「違います!」
低い声で紅葉は言う。否定する高神に同意を求められる前に神室は目を逸らし、む~む~は生身でインメルマンターン決めて逃げた。
 「…私は、しばらく旅に出るから」
 「はい」
 「その間に、摂政がどこの誰とお見合いしようが結婚しようが、私生活には口だし出来ないわよね」
 「……はい!」
 「ついでに、たけきので戦闘があるからそっちの指揮もよろしく」
 「はい!………はい?」
勢いよく答えてから、凍り付く高神。紅葉は机の下に隠していた荷物を取り出して、部屋から出ていこうとしていた。

 「よろしくね、摂政」
にっこりと笑う紅葉。悪女の微笑である。それから優雅に、風よりも速く走った。
 「…行っちゃいましたね。じゃあ摂政、あとはよろしくお願いします」
既に胡麻粒くらいの大きさになっている紅葉の背中を見送って、神室もまた執務室から出ていく。一人執務室に残された高神は、ぐるぐるしながら置いて行かれたお見合い写真を見て、真っ赤な顔でぶっ倒れた。

執務室は今日も、平和である。

(かいたひと:高神喜一郎)
 
 
 
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※7月17日20時12分にむ~む~作の文章を追加。
※7月17日20時23分にスペックを追加。

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